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古民家とIKEAキッチン

21世紀の今、都会人が古民家に暮らしたいという思いを支えるのは、まずは時間とお金。鶏か卵か、ではありません。圧倒的に、時間とお金が先。それがなきゃ、ていねいな暮らしなんて無理。

2年前にこの古民家を買った私はそのことを心の底からは理解していませんでした。

当面は、”as is”。できるだけDIY。できるだけお金をかけないで。

そうやって2年間、やって来ました。

これからは残り時間から逆算して、もうちょっと頑張って、東京の生活で余剰を捻出しようと思います。お金だけではなく、時間も。それで作った余剰を、他の何でもなく「いすみの古民家」に蕩尽するという、実にジレッタント的かつエゴイスティックな選択と集中。

昔の美しい姿を蘇らせたいから。トタンの外壁は下見板に戻したいし、アルミの窓は木枠の窓に戻したい。雨戸や建具はも修理したい。

DIYでできたのはせいぜい漆喰塗りや戸棚つけまで。本格的な木工事はやはり素人には無理だということが徐々にはっきり、分かってきました。

で、それらを頼める業者を見つけないといけないのですが。。。思いのほか、それも大変でした。現代の住宅規格から外れた古民家の木工事は、やってくれる工務店はなかなかない。古民家専門の建築家と宮大工に頼んだらやってくれるのでしょうが、どれだけお金がかかるかわからない。

この2年、建物の勉強もしました。必要なことではありますが、情報とうんちくだけが積もっていくのは空しいものです。やはり施主として先立つものはお金です。

「お金も時間もなくて、やってくれる工務店がないなら、何にもしなきゃいいんだよ。今が十分に素敵なんだから。もしかして、君は改悪しようとしてるのかもしれないよ」という夫。

ちなみに夫の理想は、川崎、向ケ丘にある古民家園の建物です。

私の理想は、それに少し洋風のテイストも取り入れて暮らしやすくした白洲正子の武相荘の姿です。

そうした理想を踏まえれば、夫の言う通り、大変なお金と時間をかけて改修しても、現代の古民家リノベーションの潮流の中で、必ずしもおもった通りの姿にならない可能性があります。実際、これまでに、たくさんの残念なリノベーションを見て来ました。現代住宅の機能性を求めすぎて竹に木を注ぐようになった古民家、建築家のエゴが全面に出た実験室のような古民家。素人のおかしなDIYのせいで昔の家の様式性や意匠がまるで失われた古民家。。。。

「とりあえず、キッチン、水周りをやれば。もちろん、僕じゃなく君のお金で」。

というわけで、キッチンに手をつけることにしました。

サー・コンラン卿のキッチン、桐島かれんの葉山の家のカントリーキッチン。たくさんの画像をPinterestで集めることから始めました。キッチンメーカーのモデルルームもたくさん、行きました。

桐島かれんさんの葉山の家。前は単に素敵だと思っただけでした。今はこれだけの空間を作るのに、どれだけの手間とお金がかかったかと考えます

でも結局、私の資力で買えるのはIKEAキッチンだけでした。

輸入キッチンではダントツに安いIKEAですが、それでも、覚悟が要る出費と時間、手間でした。たかがIKEAキッチン、されど、IKEAキッチン。施工前日に家に届いた136個の荷物。配管、配線、壁面、窓。。。。。施工業者、工務店とのコーディネーションもなかなか大変でした(現在進行中)。

IKEAのカウンターキッチン。プロの施工業者の技術は圧倒的でした

ビビりながらもスタートした、業者を使った古民家リノベーション。

ルードヴィヒ2世の例を見るまでもなく、本当に素晴らしいモノを作るにはお金も時間も忘れたエゴイスティックな狂気が必要なのかもしれません。

そんな狂気が自分に欲しいような、欲しくないような。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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