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【書評】ベーシック・インカム——BIは超リバタリアンな思想だった

 

ベーシックインカム。全ての国民が最低の所得を国から給付される制度についての入門書。

「最低限の健康的で文化的な生活」のために、赤ちゃんを含め、全ての国民一人一人が死ぬまで年84万円をもらえる。4人家族なら336万円。住む家さえあれば一生、働かないでもやっていけないこともない水準。。。

何もしなくてもお金がもらえるなんてパラダイス。でも税金は高くなるだろう。何もしなくてもお金がもらえる。そして働けば重税。そんなことになれば、誰も辛くてイヤな仕事をしなくなるだろう。すると社会が再生産されなくなるだろう。第一、膨大な公的債務と社会保障費に喘ぐ日本の財政にそんな余裕、あるはずない。。。。

そんな批判を筆者は十分見越している。筆者は左派のユートピア思想家ではない。元官僚、金融と財政のプロだ。その人がベーシックインカムは正しく、しかも財源的にも問題ないと言っている。

財源的に問題ないのは、ベーシックインカムはおよそ全ての既存の所得再分配政策を代替することを前提としているからだ。具体的には、公共工事、年金、扶養手当、子ども手当、農業補助金、林業補助金、生活保護、医療保険、失業保険、文化スポーツ補助金など。これらの手当や補助金は不必要な仕事を作り出し、社会の生産性を削いでいる。これらを全部、廃止してしまえば、ベーシックインカムの財源など軽く捻出できる。

そう、ベーシック・インカムは無駄な政府の介入をやめさせると意味でむしろ、右派的、自由主義的な思想なのだ。その最も著名な提唱者は新自由主義の宗祖ミルトンフリードマン。どうりでホリエモンがベーシック・インカムを支持しているわけだ。

人は一人で生まれることも死ぬこともできない。不慮の事故、失業、天災などのリスクに囲まれて生きている。所得を失い、貧困に沈む危険はだれにでもある。本書は社会の相互扶助機能が、家庭から会社、会社から国家に順繰りに移っていった歴史を振り返る。今、企業が社員の社会保障負担に耐えられなくなりつつあり、それが非正規雇用が増えている根本原因だ。なら、(グローバル競争にさらされている)企業を社会保障の役割から完全に解放するためにも、ベーシックインカムで国が国民の面倒を見るべきだという。

こう読むと、ベーシック・インカムの歴史の必然にすら見えてくる。

だが、そんなに簡単にいくだろうか?

もしベーシックインカムを真剣に是と考える政治家が出現し、既存の制度を真剣にベーシックインカムで代替しようとすればどうだろう?

厚生労働省の仕事はほぼなくなり、国土交通省、農水省、年金事務所、福祉事務所の規模と機能は根本的に変わる。医療業界、建設業界、運用業界、保険業界などの利権、権益は失われる。市役所や区役所の仕事も半分以上なくなる。

年金も公共事業も止めてベーシックインカムに一本化。。。それは、国家の仕組みをゼロから変えるもので、実現すれば明治維新クラスの革命だろう。官僚は反対。族議員も反対。既得権益層も反対。

賛成するのは何の既得権もないが投票権もない子供たちだけかもしれない。

そして、そんな子供たちがベーシックインカムを手に入れたとき、果たして本当に、社会に必要な労働が供給され続けるのか。ベーシックインカムの財源が確保され続けるのか。未知数なことはあまりに多い。

ベーシックインカム。「最低限の健康的で文化的な生活」のために、赤ちゃんを含め、全ての国民一人一人が死ぬまで年84万円をもらえる。4人家族なら336万円。住む家さえあれば一生、働かないでもやっていけないこともない水準だ。

働かなくてお金がもらえるなんてパラダイス。でも税金は高くなるだろう。何もしなくてもお金がもらえる。そして働けば重税。そんなことになれば、誰も辛くてイヤな仕事をしなくなるだろう。すると社会が再生産されなくなるだろう。第一、膨大な公的債務と社会保障費に喘ぐ日本の財政にそんな余裕、あるはずない。。。。

そんな批判を筆者は十分見越している。筆者は左派のユートピア思想家ではない。元官僚、金融と財政のプロだ。その人がベーシックインカムは正しく、しかも財源的にも問題ないと言っている。

財源的に問題ないのは、ベーシックインカムはおよそ全ての既存の所得再分配政策を代替することを前提としているからだ。具体的には、公共工事、年金、扶養手当、子ども手当、農業補助金、林業補助金、生活保護、医療保険、失業保険、文化スポーツ補助金など。これらの手当や補助金は不必要な仕事を作り出し、社会の生産性を削いでいる。これらを全部、廃止してしまえば、ベーシックインカムの財源など軽く捻出できる。

そう、ベーシック・インカムは無駄な政府の介入をやめさせると意味でむしろ、右派的、自由主義的な思想なのだ。その最も著名な提唱者は新自由主義の宗祖ミルトンフリードマン。どうりでホリエモンがベーシック・インカムを支持しているわけだ。

人は一人で生まれることも死ぬこともできない。不慮の事故、失業、天災などのリスクに囲まれて生きている。所得を失い、貧困に沈む危険はだれにでもある。本書は社会の相互扶助機能が、家庭から会社、会社から国家に順繰りに移っていった歴史を振り返る。今、企業が社員の社会保障負担に耐えられなくなりつつあり、それが非正規雇用が増えている根本原因だ。なら、(グローバル競争にさらされている)企業を社会保障の役割から完全に解放するためにも、ベーシックインカムで国が国民の面倒を見るべきだという。

こう読むと、ベーシック・インカムの歴史の必然にすら見えてくる。

だが、そんなに簡単にいくだろうか?

もしベーシックインカムを真剣に是と考える政治家が出現し、既存の制度を真剣にベーシックインカムで代替しようとすればどうだろう?

厚生労働省の仕事はほぼなくなり、国土交通省、農水省、年金事務所、福祉事務所の規模と機能は根本的に変わる。医療業界、建設業界、運用業界、保険業界などの利権、権益は失われる。市役所や区役所の仕事も半分以上なくなる。

年金も公共事業も止めてベーシックインカムに一本化。。。それは、国家の仕組みをゼロから変えるもので、実現すれば明治維新クラスの革命だろう。官僚は反対。族議員も反対。既得権益層も反対。

賛成するのは何の既得権もないが投票権もない子供たちだけかもしれない。

そして、そんな子供たちがベーシックインカムを手に入れたとき、果たして本当に、社会に必要な労働が供給され続けるのか。ベーシックインカムの財源が確保され続けるのか。未知数なことはあまりに多い。

どう考えても実現は難しい。実現するとしても、既存の制度の上にハリボテのようにくっつけられた、当初のシンプルな発想からはほど遠いものとなるだろう。

それでも、そんな過激な思想を日銀審議委員が提唱しているということ自体ががすごい。

なお、筆者は文中で、「富は必ずしも正当なものではないが、社会が安定するためには正当なものだと人々に感じられることが必要」と述べている。これは読めば読むほど不思議な表現で、よくわからなかった。「正当ではない富を、正当な富と思わせる」ためには「ウソ」が必要だ、ということで、欧米によるアジアの植民地化を「正当でない」と否定した(近衛首相が)アジアの共産化をもたらした(元凶)として批判している。この部分は舌足らずで他の部分と噛み合っていないで不思議だった。

それでも、そんな過激な思想を日銀審議委員が提唱している、ということ自体ががすごい。

なお、筆者は文中で、「富は必ずしも正当なものではないが、社会が安定するためには正当なものだと人々に感じられることが必要」と述べている。これは読めば読むほど不思議な表現で、よくわからなかった。「正当ではない富を、正当な富と思わせる」ためには「ウソ」が必要だ、ということで、欧米によるアジアの植民地化を「正当でない」と否定した(近衛首相が)アジアの共産化をもたらした(元凶)として批判している。この部分は舌足らずで他の部分と噛み合っておらず、不思議な気がした。

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