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中国旅行(3) フライト遅延、キャンセル

教訓:

  1. 中国ではマスツーリズムが爆発中。旅行人口の急激な拡大のせいで、インフラが追いついていない
  2. 中国の国内便の運行は不安定。移動に飛行機を使うことは大きなリスクがあることを認識すべき。ましてやいくら安くても第三国へのトランジットに中国の空港を使うことは絶対避けるべし
  3. 中国の航空会社(私のケースはエアチャイナ)はトラブル発生時にルールに基づく対応がされない。非常時には「早く情報を得たもの」「ごねた者」が得をする。

 

今回の9日間の中国旅行は、飛行機の遅延、キャンセルのせいで、帰国が一日遅れた。北京、敦煌、夏河と、飛行機と鉄道を組み合わせて順調に楽しく移動しつつ迎えた8日目。あとは北京1泊して早朝に羽田便に乗り継ぐだけ、となったところでトラブルは起きた。

夏河からの飛行機が到着した西安の空港ターミナル。出発ボードの中国国際航空西安-北京便に”delayed”の文字。これがケチのつき始めだった。はじめは、「北京到着が遅れれば、ホテルに着くのも遅れて睡眠時間が短くなっちゃう」くらいに思っていた。

ところが甘かった。ボード上の予定出発時間はどんどん、遅くなる。夜10時まで待って、とうとう表示は突然、”flight cancel”に変わった。

飛行機の遅れやキャンセルは、どの国でもある。ただ、普通は天候や機材の整備などの「飛べない理由」が示される。トランスファーなどの問題があれば、代替案も示される。

ところが今回は違った。西安空港のアナウンスはひたすら、「(北京)空港が混んでいる。。。」というだけ。飛行機が飛ぶ可能性は?飛ばなかったらホテルは提供される?フライトキャンセルのせいで、乗り継ぎ便に乗り遅れたらチケット代は補償される?新しい乗り継ぎ便を、どのタイミングで、どう予約しなおせばいい? これらの疑問は最後まで晴らされなかった。

頼みの情報源のスマホも、中国国内の規制のせいでウェブ環境が悪い。旅行をコーディネートしてくれた中国の旅行代理店の担当者の携帯にも電話したが、何せ、夜の10時。彼女もお手上げのようだ。

抗議する私たちに、搭乗口の係員は「航空会社は欠航の責任は取らない」の一点張り。なぜか中国人の乗客は割と落ち着いていて、潮が引くように搭乗口から消えていった。「絶対、明朝、北京に着かなきゃならないんだ!明日の飛行機をどうやって予約すればいいんだ!」と係員に叫び続けるのは外国人、つまり私の夫とスペイン人の夫婦だけだった。

なぜ、中国人は抗議しないのか?不思議なのは、北京行きだけではなく、出発ボードの表示が「フライト・キャンセル」だらけなことだった。西安だけではない。蘭州でも敦煌もそうだった。一体、中国人はいつもこんな不安定な運行に慣れているんだろうか?

後で聞いたところ、嘘か本当か、中国の国内便は、単に乗客数が少なく採算が取れないとわかった段階でキャンセルされるらしい。乗客はホテルと代替便を提供されて、翌日出発する、というだけ。客は金さえ損しなければ、多少の時間の損には目を瞑るというわけだ。

国内便は遅延、欠航だらけ

深夜の西安空港の中国国際航空のカウンターで、私たちは気を取り直して翌日の北京行きフライトを予約した。私たちの悲壮な顔に係員の言葉はミステリアスだった——

「なるべく、キャンセルになりにくい便がいいわよね。じゃあ、出発時間は少し遅いけど、これじゃなくて、あれにしましょ」。

そう。どうやら、中国にはキャンセルされやすい便と、されにくい便があるらしい。

もう、どう頑張ってももう、翌朝の北京-羽田便には間に合わない。私たちは西安空港の地下のホテルにチェックインした。もちろん、自弁だ。携帯を充電し、中国国際航空に電話して、翌日の北京-羽田便を早朝便から午後便に変更した。「本当に午後便でいいんですね?明日の便にしときなさいよ。また乗り遅れても知りませんからね」と、電話の向こうのオペレーターは言った。

案の定、翌朝の西安-北京便も出発が遅れた。電話でのオペレーターの懸念通り、”delayed”の表示のまま、とうとう、午後便も乗り遅れる時刻になってしまった。私たちはもう、かれこれ、24時間も西安空港に閉じ込められている。なぜ飛ばないのか、理由がわからないままに。ようやく飛行機が飛んだのは夜6時も回った頃だった。

夜遅く、到着した北京空港のカウンターは、チケットの再予約、補償、ホテルの手当てなどを求めるあらゆる国籍の乗客でごった返していた。

私たちはカウンターで手を挙げ、叫び、係員にねじ込んで、なんとか、翌日の北京-羽田便への再振替(を証明する小さなメモ)を勝ち取った。

今晩もホテルは自弁かと覚悟していたら、「一人200元(3200円)の補償があるらしいです。それで各自、近くのホテルを予約するらしい」とそばにいた日本人が教えてくれた。

それで、その「200元補償」の長蛇の列に並んでいると、今度は突然、「エアチャイナからホテルが提供されるよー。こっちこっち!早く!」と、日本語を喋る中国人の男が私たちを呼び寄せる声が響いた。

ガセか。。。と思いつつ、私たちはその男のいる方に吸い寄せられ、列を離れた。補償の列のうち、半分はホテルを選び、残りは200元の補償の列に残っていたようだった。

人生の選択は常に非対称だ。人は自分の選択したものの価値がまだわからないうちに選ばなければならない。

不安な気持ちでバスに揺られて30分弱。暗闇に出現した巨大な高級ホテルに到着した。一部屋2万円くらいだろう。一人200元の補償よりずっとお得感があった。男の情報のおかげだ。

普段は航空会社のスタッフが使っているのだろうか?こんな立派なホテルが丸々、乗客の補償用に空っぽな状態にあるに驚く。だが、さすがい全ての補償客を収容できる規模ではないのかもしれない。

夕飯は中国2,3品の平凡なバイキングだったが、お金を払ってビールも飲めた。シャワーですっきりし、ふかふかの快適なベッドで就寝した。

翌朝4時半に起床、5時にはバスで再び空港へ。この時間からすでに北京空港の出発フロアは大混雑だった。

案の定、羽田行きの便にはまたもや”delayed”のマークが付いた。この48時間の経験のせいで、遅れくらいでは驚かなくなっていたが。

空港に居合わせた日本人の何人かから話を聞いた。

その多くが私たちと同じか、それを上回る苦労をしていた。新疆ウィグル自治区を回るはずが、欠航のせいで行きたい所に行けず、帰国する二人組。北京経由の格安航空券で、カナダで夏休みを計画していたのに、やっとハンクーバー便が飛ぶころには、もう夏休みが終わりかけだという女性。。。。私たちは旅行の最終盤でトラブルに見舞われたのがせめてもの救いだったと言える。もし、旅行の最初にこうなっていたら、と思うと、せめての幸いだ。

結局、若干の遅れで北京-羽田便は無事、離陸した。やっと、帰れる。ほっぺたをつねりたい気分だ。

島国日本人の想像を絶する無秩序、大雑把、小さな個人の権利。中国という国の荒々しい姿を体感できた貴重な旅だった。

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