都心の商店街の変貌

商店街のぶらぶら歩きが好きだ。

さびれる一方の田舎の商店街はさびしい気持ちになるが、東京にはまだまだ賑わいのある個性的な商店街がある。たとえば、地元月島の商店街、神楽坂の商店街、広尾商店街、麻布十番商店街。

でも、そうした都心の商店街も店舗構成は昔とずいぶん変わった。

圧倒的に飲食店が多くなっている。そして、それらの飲食店の主要客は地元客でなく、飲み食いのために華やぎを求めて外から来る人々だ。

月島の商店街はウィークデーも週末も昼夜問わず賑わっている。でも、注意して見ると、本屋さん、ふとん屋さん、金物屋さん、お米屋さんは閑散としている。人が集まっているのは圧倒的に、今や商店街の店舗の7割以上を占めると思われるもんじゃ焼き屋である。月島の商店街は今では「もんじゃ通り」として名高いが、昔は地元の人が日常用品を買う、ごく普通の商店街だった。もんじゃ焼きは個人の家に毛が生えたような店構えの店が裏通りに慎ましく数軒あっただけだった。

月島

神楽坂の商店街は、外国人、色街の芸者さん、近くの大学の学生などが通る個性的な空間だ。坂の並びや裏の小道には小洒落たフレンチ、小料理屋、甘味屋などが軒を並べ、独特の風情を醸し出している。そこには茶碗屋や洋服屋など、飲食店以外の店もある。でも、そうした店はどれも馴染みの中高年客だけを相手にしているような古びた構えで、新しい顧客を歓迎する空気がない。新たな集客に成功し、新陳代謝が進んでピチピチしているのは飲食店ばかりなのだ。

だから商店街といっても、ブラブラ歩きの愉しみはなくなっている。ショッピング・モールと比べると、冷やかしで入れる店もないし、入りたいと思うような魅力的な商品も少ない。米屋や本屋、坂屋、電気屋や手芸洋品店が次々廃業しているだけではない。個性的なアクセサリー屋さんやアンティークショップ、輸入雑貨店や台所用品店など、バブルの頃には多かったお洒落な店もどんどん街から消えているように感じる。

原因は明らかだ。モノ余りのご時勢が長く続き、不要不急の「趣味のアイテム」に対する消費者の購買意欲は大幅に衰えたこと。しかも、茶碗1つやバケツ1つ買う場合にも、商品をインターネットで比較検討して一番費用対効果やデザインが優れた品をネット経由か大規模店舗で買うようになっている。

そんななか、商店街の小規模店舗で集客し、高い家賃を払った後に持続可能な収益性を上げられるのは、ネットに代替されず、大型店舗との競合が少ないレストラン・ビジネスだけになっていったのだ。

かく言う私自身、商店街でモノを買わなくなって久しい。もっと若い世代にとっては、そもそも商店街は飲食店街であり、モノを買うところではないだろう。

さらに商店街に新規出店して凌ぎを削るレストラン業界自体、低価格化で過当競争で利益が出難い構造になっているようで、新しい店は大資本によるチェーン店ばかりが目立つ。

モノが安くて豊富な今の時代は消費者にとっては天国のような時代。でも、モノを作って売りたい人、個人で商売をやりたい人にとっては本当に厳しい時代だ。

闇市の時代、売り手市場の時代、モノに飢えた人々のためにモノを作れば売れた時代、米屋、本屋、魚屋などの個人商売主が仲良く軒を連ねて楽しく共存共栄していた時代。そんな時代の商店街に一度、タイムトリップしてみたい。そしてそんな商店街で小さなお店を営んでみたい。

 

 

 

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都心の商店街の変貌」への2件のフィードバック

  1. 三谷眞紀

    コメントお久しぶりです。
    新しいブログに引っ越してからも読んでます。
    ここ何ヶ月も、気持ちが落ち込みがちで、全然コメントを書くだけの気力がなく……
    まあ今はだいたい元気なんですけど。

    私の好きな商店街は、やっぱり吉祥寺のハモニカと、下高井戸かな。
    闇市の面影が色濃く残っていて好きです。
    広尾や麻布十番は遠くて行ったことがないですねえ。

    返信
    1. admin 投稿作成者

      三谷さん
      コメントありがとうございます。私も三谷さんのブログ、拝見してます。
      エイビーロードの記事も!
      吉祥寺、下高井戸いいですよね。
      三谷さんには、なぜか中央線の血を感じます。インド好きのせいかな?

      返信

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