都心、湾岸地域の活気

世界の多くの都市同様、東京の高級住宅地は都心の西側にある。大企業に働くサラリーマンの家族の多くは港区、目黒区、世田谷区、杉並区などいわゆる山の手の高台から西側に拡がる郊外に住んでいる。

大企業の社宅や、有名私立学校の分布は見事に西側に集中している。

田園都市線、小田急線、中央線などの私鉄沿線の一戸建てやマンションに住むサラリーマンと専業主婦、私立の中学や高校に通う2人の子供の家族という生活スタイルは、1970年代から1980年代に典型的なライフスタイルだった。そうしたライフスタイルを体現した田園都市線沿線のアッパーミドルクラスの世界を描いたのが1983年に放映された「金曜日の妻たちへ」だった。

当時、郊外に住む専業主婦の夫の雇用は安定し、可処分所得は高かった。時間とお金の余裕に恵まれた主婦は文化への関心が高く、そうした主婦を中心に「郊外文化」が花開いた。

当時30代~40代の主婦は60代~70代となり、子供たちが30~40代になった。30年間にはバブルがありバブル崩壊があり、「失われた20年」があった。少児高齢化が進み、地方の過疎化や経済のグローバル化が進み、モノの値段が安くなった代わりにサラリーマンの給料も安くなり、雇用は不安定になった。

「金曜日の妻たち」の子供たちは今、どうしているのだろう?

気の効いた子供たちは、都心のタワーマンションに住んでいると思う。

30代の女性は子供を生んでも断固、企業の仕事を辞めなくなった。子供を保育園に預けて通勤し、フルタイムで働いて男性並みの給料を得て、しかも家事や娯楽の私生活の時間を捻出するためには、多少家賃が高くても通勤時間が短いことが望ましい。

住民の高齢化と人口減少に伴い、郊外は魅力を維持するのに不可欠な投資が十分に行われないまま町全体がゆっくりとり老朽化し、人をひきつける力が失われつつあるようだ。昔、郊外の街に沢山あった喫茶店、手作り雑貨の店、子供用品店、書店やレコード店。住民高齢化とネットの波で見る影もなく、新たに出来るのは文化の香りのしない「サイゼリヤ」や「すき家」や「ゲオ」ばかり。

郊外と対照的に、どんどん美しくなっているのが都心だ。

大手町、東京、日本橋のオフィス街はここ10年、大規模な再開発が進んでおり、最新の洗練された商業施設が増えた。景観も美しくなり、訪問して楽しい小洒落た店が増えた。新丸ビルやコレド、六本木ヒルズの小洒落た店はどれも国際資本が展開するグローバルスタンダードのブランドショップだ。大手町、東京から再開発の波は日本橋、京橋に押し寄せている。

豊洲、晴海、有明などの湾岸の埋立地には続々とタワーマンションが建ち、若い共働きカップルがこうした地域に住み、外国人投資家が投資をするようになっている。豊洲の町を歩くと韓国語と中国語が 日常的に聞こえる。2020年東京オリンピック決定で建設ラッシュが今後も続くことが予想され、モメンタムはさらに強まっている。

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日本全国広しと言えども、大きな開発が行われて日々景観が刷新され、経済のダイナミズムが感じられる場所は都心部と湾岸地域だけかもしれない。日本全体がゆっくりと高齢化、老朽化する中で、東京都心だけが若々しく、ダイナミックに変貌し続け、人と金が集まる。そうしたトレンドがあと数十年は続きそうな予感がする。

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