直観の人

それに外向的か内向的かが加わってさまざまな組み合わせができる。

それに外向的か内向的かが加わってさまざまな組み合わせができる。

昔読んだユングの性格論。人間の性格には、<思考 ←→ 感情>、<直観 ←→ 感覚>の2つの軸があって、その組み合わせでいろいろなパーソナリティが生まれる。

このうち<思考 ←→ 感情>の軸の方は分かるのだが、<直観←→感覚>は一体、どういう対立軸なのか、若い頃には十分に理解できなかった。日常用語では「感覚的な人」と「直観的な人」はほぼ同義語で使われたりすることもある。そんななかで、なぜ「感覚」と「直観」がアンチの関係にあるのかがよく分からなかったのだ。

でも、最近、その違いがよりはっきり理解できるようになった。そう、感覚は「目に見えるもの」、直観は「目に見えないもの」に関係しているから、それは正反対のものなのだ。

sakamotoryoma直観的な人とは、例えば幕末の志士、坂本龍馬のような人のことを言うのだろう。「このままだと日本はヤバい」と直観的に感じた坂本龍馬は、直観的に自分が何をすべきかを模索して、薩摩藩と長州藩を結びつけて倒幕に向かわせようと考え、行動に移した。20代や30代の坂本龍馬は生前、日本の何がヤバイのか、その処方箋が何かを理論や経験によって精緻に分析できていたわけではないし、何が自分の人生の目的で利益であるかを明確に把握できていたわけではないだろう。それなのに、五感では感じられない「未来の日本の姿」を心に感じて、その方向に向けた流れを作ることに全力を傾け、その流れの延長線上に生まれた新しい明治日本の姿を見ぬ前に暗殺された。写真に写る龍馬の目は視界に入るものを何も見ていない。誰も見えない、遠くにあるものを見通そうとしている。

koizumiで、21世紀の今日、周囲を見回して、典型的な直観的パーソナリティは誰かというと、小泉元首相だと思う。何も私が言い出したわけではない。小泉さんを「直観の天才」と呼んだのは田原総一郎さんだ。田原さんは、長年の政界取材を通じて、折々の小泉さんの直観の冴えぶりに触れて感心し、今回の小泉氏の「脱原発発言」も、その直観のなせる業だと説明している

小泉さんは突然、「原発は止めた方がいい。ゴミの処理が大変だから」と発言して久しぶりに世間の注目を集めた。小泉さんはすでに十分、功なり名を遂げた人だ。すでに政界を引退され、直系の弟子の安倍さんが首相となり、次男の進次郎さんが自民党でも頭角を現して後継者として立派になっている。そんな今、小泉さんは、自分が目立ちたい、何らかの利権を守って個人的利益を得たい、政敵を貶めたい、あるいは政敵を懐柔したい、あるいは院政を如いて実権を握りたいなどの下心があって、こうした発言をしたとは思えない。「原発は嫌いですね~」という個人的感想を感覚的に述べたわけでもない。小泉さんは「将来、原発のある日本は良くない。原発のない日本こそ正しい姿である。そういう方向にすぐ進もうとしていない現政権は間違っている」ということを直観で感じ、そうした発言を今することが自分の努めだということも直観に感じたのだと思う。

直観的に何かを感じるタイプの人は、自分の進んでいく方向性を他人に説明したり、分析したりしない。他人には見えないものを見るから、うまく説明できないのだ。現実の目先の実務には極端に疎かったり、味覚、色彩感覚、音楽感覚などが鈍い人が多い。小泉政権時代はアングロサクソン流の新自由主義によって、日本が大きく変わった時期だと評されることが多く、小泉さんはそうしたイデオローグと見なされることが多い。あるいは竹中平蔵さんなどは現実の緻密な分析と理論に基づいて行うべき結果を導いていたかもしれない。でも、小泉さんはそうではなくて、何かを直観で強く感じていた人のように思う。だから毀誉褒貶が多い中で、自分自身のしたことを一切、理屈で説明しようとしない(できない?)。

坂本龍馬や小泉さんほどでなくても、巷にはたまに直観の強い人がいる。「うち会社ヤバイよ」とか、「これって絶対××だよな~」とつぶやき、その理由をいちいち他人に説明できない人。特定の何かをやり遂げようとする信念が狂気の域に達しており、理屈や分析を一切寄せ付けない人。

優れた科学者、発明家、革命家、起業家といった人々、ビジヨナリー、預言者と呼ばれるような人々は全て直観タイプなのだと思う。五感にガチガチに縛られて見えないモノを見る能力がない私のような凡人にとっては、ちょっと超能力めいている。

直観というものが後天的に開発できる能力なのであれば、出来るものなら開発したいとも思う。だが、そうした直観は、子供の面倒を見たり、楽しく友人と交際したり、保険商品を売ったり、翻訳をしたり、日曜園芸をしたり、税務申告をしたりといった、凡人的人生を全うする能力とは相反する能力のような気もする。あるいは、直観的タイプというのは女性に少なく、男性に多いタイプなのか。

あるいは直観は信仰とも関係がありそうだし、直観の強い人は自意識が弱そうだ。大好きなテーマなので改めてゆっくり考えて見ます。

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