昼の装飾文化

ヨーロッパで発達したジュエリーやアクセサリーは夜の非日常のものだ。

それは、もともと宮廷やブルジョワジーの夜会の装飾品として発達した。pinkstripes8

露出した白い肌と、刺繍を施した繊細なドレス。意匠を凝らした室内の調度やシャンデリアの揺らめく光、爛熟して退廃的な雰囲気が似合う、非日常の、華奢で洗練されたジュエリー。

対して、 アジアやアフリカやアメリカのジュエリーは昼のジュエリー。

シンプルで、原色の、日光の輝きが似合う、日常のジュエリー。

b8

Zulu 002

images

「夜の社交文化」が本格的に発達し、一般大衆にまで達したのは近代以降のヨーロッパだけだ。

近代化以前の社会を生きた大半の人々は、日昇とともに目覚め、働き、日没とともに一日の活動を終えていた。装飾品は昼間、労働している時間にこそ身に付けるものだった。

産業社会の労働者の味気ない仕事服とは違い、チベット人の行商人も、アフリカのズールー族の狩人も、ナバホ族の羊飼いも、男も女もジュエリーをジャラジャラ付けている。ジュエリーは装飾品であると同時に、身を守るお守りでもあり、財産を保有する手段でもあった。

「健康、ロハス、エコ」の時代である21世紀になって、都会を生きる私たちは、ますます早寝早起きになっている。日の出と共に起きて、ジョギングして、午前中に沢山仕事をして、残業はせず、夜は9時ごろ寝て。。。という「自然」に近い生活を好む人が増えている。

また私たちはケの作業服に身を包んで味気ないオフィスで効率一辺倒の事務仕事をこなす生活から、徐々にカジュアルな服装で、ノマドのように様々な場所を移動しながら仕事が出来る環境に移行しつつある。

私たちは近代の洗礼を受けた後、ゆっくりと、昔のチベット人やインディアンに先祖返りしているのかもしれない。

「ヨーロッパ的な夜の文化」を基本にしたジュエリーやアクセサリーはそんな21世紀の私たちの生活には合わない。合うのは、昼間の自然光や日常の労働シーンとフィットして、日常生活を美しく彩るトライバルなデザインの装飾品だ。

チャンルーのトライバル( tribal)なデザインのジャラジャラしたラップブレスレットが世界を席巻しているのも、服装のカジュアル化が進んでいるのも、東南アジア発のファッションや雑貨の人気が高まっているのも、長い目で見れば、近代以前の「昼の装飾文化」の復権と関係があるような気がする。

Exif_JPEG_PICTURE

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterShare on LinkedInPrint this pagePin on Pinterest

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です