安倍昭恵さん

ミッシェル・オバマ米大統領夫人はゴージャスな存在感で夫を支えている。夫のスピーチを後でうっとりと聞き惚れているだけではない。スタイリッシュなファッションに身を固めて夫に寄り添い、幸せで安定したカップルを演出する。たびたび行うスピーチでも、夫の政策が如何にアメリカの進歩に貢献しているか、夫がどれだけ真剣に祖国のために尽くしているかを力説する。彼女の全ての社会活動は、夫の政策の認知度を高めるのに貢献している。まさに夫婦は一心同体。

www.usmagazine.com

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翻って我らが安倍昭恵さんはミッシェルさんとずいぶん違う。去年、第二次安倍政権発足直前には、神田に居酒屋を経営していることが週刊誌にスクープされ、「夫婦不仲」と報じられた。そして、この一昨日のウォールストリートジャーナルの記事では、TPPや原発問題で、夫の推進する政策を支持しない「家庭内野党」としての昭恵さんの立ち位置が報じられた。ウォールストリートジャーナルの記事を見たアゴラの池田信夫は、「昭恵さんは(首相夫人の)適正検査をした方がいいんじゃないか」とtwitterで批判している。

朝日新聞

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昭恵さんは、やる気になればミッシェルさんクラスのファッションも似合う、スタイルが良くて都会的な人だ。でも最近は服装も髪型も化粧も地味でカジュアル。おかっぱ髪でいつもユル~く笑っている。その後も居酒屋の経営を続けているそうだ。夫の外遊にはあまり同行しない。マイペースで自分の活動を続け、しかも、夫の政策を批判するような発言をする。
私はこうした昭恵さんのあり方はむしろ安倍首相の人気を高めていると思う。なぜなら、安倍夫妻は日本人の自然で本音の夫婦のあり方に近いから。ビジネスも社交もカップル単位で、カップルが一枚岩であることを求められる欧米の社会に比べ、日本は結婚した夫婦が社会に見せる顔はバラバラだ。夫は会社関係でツルみ、妻はママ友や学校時代の友人とツルむ。互いの交友関係に配偶者を混ぜようとしない。結婚して10年過ぎてもラブラブ状態が続く夫婦は少なく、子どもが成長するにつれて、次第に異性のツガイから性を超越した同居人になっていく。夫は夫の世界観を持ち、妻は妻の世界観を持ち、二つの世界観は完全には交わらない。結婚して10年経つと、夫を100%尊敬し、頼りきっている妻など殆どいない。妻に自分を尊敬させようとがんばる夫もいない。だが、傍目にはバラバラに見えるそんな夫婦が決して不仲ではないというのが面白いところだ。居酒屋を営む昭恵さんが批判されたとき、安倍首相は、「私が良いと言っているのに、あなたがたが批判することはないでしょう」とマスコミに強い発言をした。そして、国会では昭恵さんが用意した可愛いマイ水筒から水を飲む首相がテレビに映り、水筒は「アベノボトル」と呼ばれて人気になった。夫婦仲が本当に悪ければ、夫は妻が用意した水筒を職場に持っていったりしないものだ。

朝日新聞

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安倍首相が前政権で首相だった4年前、今より若かった昭恵さんは「尽くす政治家の妻」を必死に演じていたような気がする。テレビに出てくる服装もピンクのスーツなどが多かった。第1時安倍政権が不人気だったこともあるが、安倍さん自身のひ弱なイメージとも重なって、昭恵さんはわがままで天真爛漫なお金持ちのお嬢様がそのまま首相夫人になった人のように見えた。だが、今回の昭恵さんは違う。安倍首相にも言えることだが、「これが本当の私です。で、なにか?」と、図太く開き直っていて、肩の力が抜けている。地に足が着いている。政界随一の名家に嫁いだが、子宝に恵まれなかった。政治家の妻としての生活に慣れるのも大変だったろうし、孤独もあっただろう。若くして首相夫人になってからの毀誉褒貶も辛かっただろう。そうした体験を経て立ち位置を見つけて自分を肯定し、世間との距離感も掴み、カジュアルに天真爛漫に笑っている昭恵さんはとてもパワフルで素敵な大人の女性に見える。
考えてみれば、鳩山元首相の奥さんも、管元首相の奥さんも、ミッシェル型というより昭恵さん型だった。夫を全身全霊でサポートする妻と、そんな妻を全力で愛して守る夫は濃すぎて暑苦しい。淡い日本の風土には、安倍首相と昭恵さんのようなユル~い友だち夫婦が相応しい。

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