古民家の涼しさ

いすみの古民家、夏はエアコンなしでも快適。。。なはずだった。

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100年前の家にエアコンはない。古い日本家屋は、高気密の真逆で、↑そもそも窓ガラスすらなく(=障子だけしかない)、網戸もない。いすみ滞在中は、雨戸を夜も閉めず開けっ放し。扇風機1台と特大の蚊取り線香4台をフル稼働させ、寝るときは蚊帳を吊って寝た。

麻で出来た蚊帳の中は不思議とヒンヤリしていた。素敵な体験だった。そもそも海洋性気候かつヒートアイランド現象がない夏のいすみの気温は平均して東京より1〜2度低いのだ。

それでも近所の人には、「はあ、クーラーがないんですか。暑いでしょう」と同情された。確かに買い物に行ってエアコンの効いたスーパーに入るたびにほっとしたのは事実だ。

「家は夏を旨とし。。。」の徒然草の通り、開放的な日本の家の作りは本来、夏の暑さに十分、対応しているはず。古民家は庇が長いので、夏場は直射日光が差し込まない(冬は日が低いから入る)。開口部が多いから、風が吹けば、室内の空気も動く。

それでもやはり、古民家のマイルドな涼しさは、高温多湿の気候にエアコンがもたらす革命的な快適さとは比べようもない。

風が止まってしまえば、やはり熱が籠って蒸し蒸しする。6月くらいまではヒヤっとしていたはずの土間も、真夏になると土がすっかり温まり、熱が籠もり、ムッとするようになった。

自然な涼しさといっても、現実に気温30度以上、湿度80%なら、それは「涼しいと思えば涼しいような。。。」というような微妙な涼しさでしかないのだ。物理的に除湿し、気温を下げることで生まれる快適さとは質が違う。

そこで思い出したのが、熱帯シンガポールの生活。初めて訪れた時、あまりの蒸し暑さに「年中夏なんて、とてもこんなところで生活できない!」と思った。だが、そうした思いはすぐ消え、2年弱住んだシンガポールの生活はひたすら「快適」だったという記憶しか残っていない。

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暑さ嫌いの私がシンガポールに馴染めた一因は、そこが「完璧に都市化した=エアコンが普及した熱帯」だったからかもしれない。駅、バス、ショッピングセンター、オフィスなど、公共施設は全てエアコンがキンキンに効いていた。この「キンキン」と「炎天下」との行ったり来たりがシンガポールの暑さを耐えられるものにした。(石油文明と近代技術に支えられた)エアコンがなかったらシンガポールは発展しなかっただろうと建国の父、故リークアンユーも言っていたような。。。。

もう一つ、シンガポールが快適だった理由は、暑いのに虫がいなかったこと。日本の夏の不快さは、蚊のウイーンという唸り声と、刺された後の痒さから来るところが大きい。<夏=自然=蚊>は長く不可分と思っていた。ところが、シンガポールは政府主導であらゆる場所に頻繁に殺虫剤を散布して蚊を撲滅していたから、家には網戸すらなかった。蚊のいない暑さは快適だった。

さらに、夜も泳げるコンドミニアムのプール。道に付いている歩行者用の庇。安価な移民労働者を大量投入して保たれる清潔なグリーン環境。衛生的な食べ物。エアコンもプールもなく、雑草だらけで、虫もウジャウジャ、マラリアが蔓延していた戦前のシンガポールなんて。。。絶対住みたくない!

もとい。

エアコンのない一夏を過ごした今、来年のいすみの夏をより快適にする方法を今から考える。

わざわざ田舎に古民家を買ったのだから、エアコン、プールのような「都市化」方向に向かっても意味がない。それでもやはり多少の快適さは求めていきたい。仏間の天井には植民地建築のようなクラシックなシーリングファンを付けてみようかと思う。家の回りは多少、石やコンクリートで固めたら防虫対策になるだろうか。屋外の立水栓にはシャワーキャップを付け、外で水浴びできるようにしたら。それに、北側に屋根付きウッドデッキを張り出して、デッキチェアで涼めるようにしたらどうだろう。

いすみの暑さなんて、インドやら中東の夏の暑さに比べたら、いや大阪や京都の暑さとすら比べてすら、大したことがないのだろうが。。。。

それでもキツさを感じた私。一番必要なのは、環境改造より、人工環境の都市で暮らす快適さに慣れきった身体と心のてこ入れかもしれない。

 

 

 

 

 

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古民家の涼しさ」への2件のフィードバック

  1. 蓮見幸輝

     いすみ市は海が近いから、関東平野のへそである我が羽生市より夏の最高気温が数度低いはずです。
    蚊とか虫は、私が大丈夫かな、と心配した点でした。
    我が家の庭だって、木の茂みには蚊がいて朝や夕方は刺しにくるのですから。
    きれいな空気、緑の木々や農地は、佃島の生活にとってオアシスでしょう。

     羽生からの通勤の長い長い車内時間に、座れるのでよく本を読んでいましたが、
    通勤が無くなった現在は、田舎町ののんびり生活が合っています。
    家を出て2時間弱で都心に行けることは、もっと遠隔地に住む友人に比べたら
    ありがたいと考えるようにしています。

    返信
    1. 下山明子 投稿作成者

      たしかにいすみと佃を行ったり来たりすることで、田舎と都会の善し悪し、日本家屋とコンクリートマンションの善し悪しがよく比べられるようになりました。いすみは海洋性の気候で夏は東京より若干涼しく、冬は暖かいです。虫対策、湿気対策、雑草対策は今後の課題です。好きとか嫌いの前に、課題に対応しているあいだにあっという間に時間が経ってしまいそうです。

      返信

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