ロルフィング体験記

39歳から40歳にかけての2年間を歯科治療と歯列矯正に費やした。

迷いつつ、その当時としてはかなり多くの時間とお金を歯に費やしたわけが、その後の生活の質の改善という点で考えると、「あの時点でやっておいて良かった!」と心から思う。私の人生で最高の投資だった。

その後7年。今年、思い切って挑戦したのが、米国式整体の「ロルフィング」。

こちらがロルフィングの創始者のアイダ•ロルフ女史。

こちらがロルフィングの創始者のアイダ•ロルフ女史。

歯列に続いて「姿勢の矯正」だ。

太い太もも、いつまでも硬い股関節や足首。丸っぽい洋梨体型。バレエ、太極拳、ヨーガ。身体を動かすのが好きなのに、頑固に硬く、何をやっても上達しない自分の身体が嫌いだった。

ロルフィングは今から60年前に上記のアメリカのアイダ•ロルフ女史が考えだした整体法で、より快適な、重力に親和的な身体を作りだす技術だ。「レシピ」と呼ばれる約90分の施術のセッションを10回がワンセットとなっており、10回が終わると施術は終わり、その後も身体は不可逆的に変化し続けるという。

ロルフィングのセッションは暑い夏の終わりに始まり、10回目のセッションが今週始めに終わった。

基本的に歯科医にお任せだった歯列矯正と比べると、ロルフィングについては、相当、自分自身で身体についての勉強もし、エキササイズもやった。密度の濃さを考えれば、ロルフィングは私の人生にとって相当な自己投資だったといえる。

ロルフィングの第一の感想は。。。物事は何でも「百聞は一見に如かず」ということ。ロルフィングの本を100冊読んでも、実際のロルフィングを受けないと、それがどういうものか分からない。

ロルフィングを受けようか迷っている人は、まずトライアルを!

特に、とかく理屈っぽく何でも文字情報から入っていくのが好きな人は是非(思考や視覚を優先し、内面より外面を重視し、何事も言葉にしようとする性格や心の「クセ」そのものが、私の硬い身体を作っていたのかもしれないとすら思う)。

ロルフィングの間、ロルファーの先生と私の間の言語コミュニケーションはがっかりするほど少なかった。

一般に施術を受ける者は、施術もさることながら、施術者にかけられる認知の言葉を癒しの手段にする。特に言葉が好きな私はそのタイプ。マッサージ師に「ものすごい凝ってますよ〜!」とか、「身体歪んでますね〜!」とか、「お大事に〜」と言われると嬉しいし、「硬いですね」などと言われると、「どうすればいいんですか!」を質問攻めにしてしまう。身体の本も、ひたすら、「何故、AはBなのか」という説明を延々と読むのが好きだ。

そうやって、言葉で物事を理解しようとするのが私のクセだ。

でもロルフィングの先生は、私の身体の批評もしなければ、「なぜAがB なのか」という専門知識の説明もあまりしてくれなかった。

先生は、私の身体を押したり引っ張ったりしながら、「足首ちょっと曲げて下さい」「膝ちょっと曲げて下さい」とだけ言う。施術そのものは、大抵の場合、ものすごく気持ちが良い。でも施術後も、先生の方からの言葉は実に少ない。

先生が言葉を呉れないから、施術が終わると、私はひたすら自分の内側の身体感覚と対話することになった。

だからロルフィングを始めてからというもの、自分の身体や内部について考える時間が増えた。「今の足の感覚は」とか、「肩の筋肉を下げてみたら」とか、「息を吐ききってみたら」とか、そんなことばかり考えて、身体と対話するようになった。

なぜって。。。驚くべきことだが、身体が応えてくれることが楽しくなったからだ!

スポーツ選手でもダンサーでもない私は身体の感覚が掴めたからといって外的なパフォーマンス向上につながるわけではないし、「背中が伸びてすごいね!」と誰も褒めてくれるわけでもない。それでも黙々と身体を探求するのが他の何より楽しく感じたのは、主観的に感じられる成果が大きかったから。

そして、毎回のロルフィングの施術から身体が受けた微細なメッセージに耳を傾けて、「あれ?」「どうして?」と読み解く作業が予想以上にエキサイティングだったから。

対話の結果、少しずつだが、私の身体は良い方向に向かっていると思う。胸が開いて楽に呼吸が出来るようになり、首を伸ばせるようになり、手や足から脱力できるようになり、腰の回りの筋肉を伸ばせるようになった。それとともに、お腹ぽっこりも治って来た。年も年だし、実際の外見の変化は遅々としている。でも、それでも正しい方向に向かっている。

ロルフィング体験者のブログやロルファーを夫に持つ吉本ばななの最近の著作などの影響だろうか、「ロルフィングはスピリチュアルなもの」というイメージがある。でも、私が実際に体験したロルフィングは(先生が無口だったから)ちょっと禅問答みたいところがあったものの、スピリチュアルな要素は一切なかった。歯列矯正を受けている間に突然、感情が高ぶって泣き出したり、過去の記憶が蘇ることがなかったのと同じように、ロルフィングの施術最中に、強く感情が揺れるようなことはなかった。それはあくまで筋肉や筋膜や骨に働きかける、姿勢矯正の技術なのだ。

それでもロルフィングによって、より落ち着きがあり、前向きで、朗らかで、健全なこころが出来上がりやすいのは確実だろう。姿勢矯正に「筋膜への働きかけ」「気づきのフィードバック」を活用するロルフィングの非言語的な寡黙な手法そのものがこころを鍛えるし、より良い姿勢が、より良い生理作用を生み出し、こころを明るくするのも確かだからだ。

猫背で腰の筋肉の固まりきったダライラマ法王など、想像がつかない。健全なこころは、なにより健全な肉体に宿る。

リラックスして腰に力がある姿。

リラックスして腰に力がある姿。

ロルフィング終了後の私は、「まず身体が先。自分の内面や感覚をきちんとすることが先。思考や外界との関係の改善は、おのずと付いてくる」と強く思うようになった。

ロルフィングがが歯列矯正を超える投資となったかどうかを知るのは10年後だろう。でも、身体との対話の楽しさを習った私が、前より少しだけ賢く、穏やかで落ち着いた人間のは確かだ。

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