ウィンドウ•ショッピングとエネルギーの消耗

大好きな料理研究家の門倉多仁亜さんの本を読んでいたら、「ウィンドウ•ショッピングはしません。お財布と相談して買うべきかどうか迷うのはとても疲れることだからです。もし、本当に美しいモノを見たいのなら美術館に行きます」というくだりがあった。

ドイツ式 暮らしがシンプルになる習慣

これは驚き。

ウィンドウ•ショッピングが疲れるって?

素敵なモノが沢山売っている店で気まぐれにウィンドウ•ショッピングするのは最高の気分転換ではないの。「買おうか、買うまいか」「自分にふさわしいか、ふさわしくないか」迷う感じが最高に楽しいのに。ちっとも疲れない。

ウィンドウショッピング、立ち読み、ネットザッピング。無責任に、気ままに目を楽しませるのは実に楽しい。「これ欲しい!」と衝動買いすると、美術館の美術品の鑑賞では決して解消できないストレスが解消される。

だからこそ、売り手は商品陳列にお金と手間をかけ、美しいモデルを使った写真で商品を宣伝し、ソーシャルメディアで潜在顧客に語りかける。もし全ての人が多仁亜さんだったら、気まぐれに衝動的にモノを買う人はいなくなるから、(たとえば私のpemabeadsのアクセサリーのように)気まぐれに、衝動的にしか、買う人のいない商品は売れなくなってしまう。広告代理店だって潰れてしまうではないか!!!

でもでも。

よくよく考えてみれば多仁亜さんこそ本当は正しいのかもしれないと思う。

突き詰めれば「楽しい」と「疲れる」は紙一重だ。

そう、「かゆい」と「痛い」が紙一重なように。

沢山の情報が目に飛び込んでくるネット•ザッピングは楽しい。でも、自分を観察したら最初は楽しいネット•ザッピングが途中で不愉快な現象に変わることは多い。

パリに住むタレントの華やかな生活のブログを読む。「ああ、あそこの街角こんな風になっているんだ」と思いながら、ふと「私は今、パリに行けない。あんなに馴染んだ街だったのに」という思いがよぎる。それはどんなに軽いものであろうと、悲しい、恨めしい、ネガティブな思いだ。

facebookではドバイで家族の休日を楽しむ友人の映像。「いいね!」を押そうとしながら、「この能天気」と悪口を言う自分がいる。そんな醜い自分を打ち消そうと無理やり、いいね!を押す。押しながら、不愉快なら押さなければいいのに、と思う自分がいる。

ワールドカップの日本代表の記事を見ているうちに、本田圭佑の記事を追い、本田がパセドウ病かどうかが気になり、パセドウ病がどのような病気かが気になる。パセドウ病の症状を読みながら、知らず知らずに不安になって自分の首の甲状腺を触っている自分がいる。

ネットがなければパリ、ドバイ、パセドウ病といった情報は生活に入り込んでこない。

情報刺激によって自動的に情動が発動し、「イヤだ」とか「欲しい」とか判断している自分がいる。情報との接触によって知らず知らずに生まれるさまざまな判断に一日中、翻弄されている自分がいる。

衝動買いも同じだ。モノを買うと所有欲が満たされると同時に思わぬ出費にヒリヒリとした痛みを覚えるから、マイルドな幸福感ではなく、イタ気持ちいい刺激をもたらす。

だから多仁亜さんが言うように、結局のところ、私たちは毎日の情報の刺激に楽しみながらも疲れているのだ。普段は疲れていることに気がつかない。でもエネルギーがない時は決してウィンドーショッピングも立ち読みも出来ないし、facebookも開くことが出来ない。

あるいは疲れてエネルギーが消耗して情報を取り入れられなくなる前に意識的に無駄な情報を遮断したら、あるいは私たちは今よりずっとより有効に自分のエネルギーを使えるのかもしれない。

多分、門倉多仁亜さんはそれを理解しているから意識的に情報を遮断している。

アクセサリーを付けない。着る洋服のスタイルは決まっているし、家で使うタオルは一人2本だけ。これだけ世界の料理や新たなレシピや栄養の情報が蔓延する中で、多仁亜さんは小さい時に祖母が作っていたのと同じドイツ•ケーキを焼き続け、母のインテリア•スタイルを守り、それを再生産しつつ読者に提案し続けている。

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まるで尼僧のよう。でも、落ち着いた幸せな表情をしている。お会いしたことはないが、多分、ゆっくり穏やかな話し方をする人だろう。昔証券業界にいた方とは思えない。

多仁亜さんと同年代の私も情報によってエネルギーの無駄遣いをしないことの方が大事かも。本当は、情報を入れても心を動かされないことが一番なのだが、到底、そんなことは難しい。

もうすぐ夏休み。都会とネットを離れて今年の夏は思いきって大胆に情報断ちしてみようか。

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