イネス•ド•ラ•フレサンジュとフランスの競争力

私が20代に大変お世話になったフランスという国は、18世紀の絶対王政時代からナポレオンの時代、1870年代に始まる資本主義全盛のベルエポックから第一次世界大戦までに頂点を極めた国といえる。その後、ゆっくりゆっくり凋落しながら今日に至るわけだが、20世紀には映画(ドリュフォーやゴダール)、ファッション(シャネルやディオール)、ハイテク(新幹線、コンピューター、航空機、原子力)などで生彩を放ち、大国の風情があたった。だが21世紀になるとフランス発の世界的新製品や大ヒットは絶えて聞かない。フランス映画も全然面白くない。世界のアメリカ化が一層進みつつあるように見えるのは寂しい限り。

前回記事のデコパッチなんかはフランス発のナイスな製品の一例なのだが、デコパッチがいくら売れてもフランスの国力への貢献はたかが知れている。

実はフランスが世界で圧倒的に競争力を持つ分野というのはあって、私は密かにそれは「中高年女の美しさ」だと思っている。

イネス•ド•ラ•フレサンジュという人がいる。

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1957年生まれ。シャネルの専属モデルで80年代に一世を風靡したこの人、御年、57歳。

ユニクロで特別コラボレーションのラインを発表したということで、久しぶりにお姿を拝見。

私がパリに住んでいた90年代、この人の美しさ、シックさ、格好良さは群を抜いていた。通っていた学校の近くに出来た彼女が自分の名前で出したブランドのお店の商品は本当にセンスが良くて素敵で、貧乏学生だった私は指を加えてウィンドウ•ショッピングしていたものだった。

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それから20年以上。

なのに、ユニクロのCMに登場するイネスの美しさといったら!スレンダーな体型が全然、崩れていないし、髪型や雰囲気もあの時と同じ。カジュアルでエレガントで知的。ハスキーな声で、「ユニクロが好きよ。私も良く買うわ」って。

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四捨五入したら60歳なのに。

美しさを維持しているのがすごいわけではない。すごいのはその美しさの質だ。

アメリカの女優のようなplastic surgeryによるサイボーグ的な若さの維持とは違うのだ。顔は皺が多いし、おそらく傍で見たら手や首の肌などは相当、疲れが見えるに違いない。

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内面から放つ清潔さと輝き。

もちろん、体型を維持しているというのが一番、大きい。中高年の女性が駄目になる一番の理由が体重増だということは明らかだ。下腹の膨れ、二の腕の垂みを年のせいにするのは、自分に甘い証拠。お洒落をしたければ自己責任でスタイル維持の努力をし続けなければならないと猛省した。

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イネスだけではない。たとえば、キャロル•ブーケ。彼女も私がパリにいた時代のアイコンだったが、今もものすごく綺麗。イネスと同じ57歳。ウッソ〜

Cannes - Palme d'Or Award Ceremony

前にも記事に書いた事がある元大統領夫人でモデル兼シンガーのカーラ•ブルーニも綺麗。彼女は私と同年代。

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ソフィー•マルソーも相変わらず綺麗。変わらない。

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どの女性も、中高年特有のおばさん臭さ——「尖のあるささくれだった表情」「ふて腐れ」「意地悪」「みすぼらしさ」が表面に出てこないのだ。成熟しているのに若々しい。

もちろん、フランス人女性の全てがこうしたエリート女性のような美を維持しているわけではない。だが、私がシンガポールや東京で知り合った多くのフランス人の中年女性の多くが、これらの女優やモデルと同じ「枯れてるけど綺麗で女らしい」雰囲気を持っていたのも事実。

なぜか、フランス人以外の白人女性でこういう雰囲気は少ない(たまに素敵なイギリス人女性もいる)。

秘密はどこに?

恐らく宮廷文化以来の長い長い「エレガンス」の伝統に、ヘルシーな食生活やエクササイズや化粧法などの現代特有の武器の組み合わせがこうした美を可能にしているのだと思う。あと、女を「安住」させてくれない、いくつになっても恋愛体質で気を抜けないフランス人男との関係や、社会生活を送る上で「美」が占める重要度が高いということも、フランス人女性が年を重ねても美を保ち続けられる重要な要素な要素だろう。

同じ「若作り」でも、日本の「美魔女」はおばさんが20代女子のコスプレをしているような不気味さがある。どこに違いがあるのかはうまく言えないのだが…

イネスを見本にするのはあまりに僭越なのだが、彼女が2011年に出したファッションの本でも買って、もう一度、フランス流エレガンスを真剣におさらいしようと思う。春だし!

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